女教師Aの小部屋R

あちこち行ったり観たり食べたり

ドラァグスターターキットにでもはいってるのでは『ジェイミー』

東京建物ブリリアホールで鑑賞。1階席のそこそこな場所だったので座っているときはそこまで気にならかったんだけど、導線はどうじゃろうな…みたいな印象。なんでこんな新しい劇場なのに悪評というかむしろもう怨嗟の声しかきこえないんだろうて思ってたけどなるほどね、という感じ。1階席も傾斜が少なくて前の人の頭がけっこうかぶる。

horipro-stage.jp

16歳のジェイミー(髙橋颯)はドラァグクイーンになりたい男の子で、誕生日に母親(安蘭けい)から送られる赤いハイヒールをきっかけにその夢に向かって突き進むが…?
というまあありそうですね…という筋書きなんだけど、今までのクィアな人を題材にした作品と違うところは身内に理解者がいて背中を押してくれるところで、誕生日に欲しがっていた赤いハイヒールをサプライズでプレゼントしてくれるし、それが「これを履くのは家の中だけにしろ」みたいな条件付きの譲歩じゃないのが包容力すごいなと。離れて暮らすジェイミーの父親(今井清隆)はわりとステレオタイプな偏見丸出しなタイプで、ジェイミー母があれこれ嘘をついてごまかしてた「ジェイミーは父親にも受け入れられ、愛されている。それは両親が離婚しても変わらない」という幻想は後半で打ち砕かれるわけなんだけど、理解をしない相手に無理に関わらなくてもいいという選択が取られているのも良いなーと思った<これは『ウェイトレス』でもそうだったんだけど。あとジェイミー母の友人レイ(保坂知寿)がかっこよかった。ところでイギリスのこーこーせいそんなにプロム重視してんのどうなの、というのは気になる。

話の展開としてはそうっすね…ていう感じなので置いといて(まあずいぶん図々しいねとは思ったけど)赤いハイヒールってアイコンとして定番というか多用されすぎててもうちょっと他になんかないの、みたいな気持ちになりました。そのあとの友だちとのやりとり
私「赤いハイヒールってドラァグクイーン初心者セットにでも入ってんのかね。あと派手な色のマラボウとぎらぎらホットパンツとか」
友「初心者セット()チューブトップも入ってそう」
私「じゃあそれでまとめて19800円で、みたいな」
友「付属のQRコードからアクセスすると有名クイーンのビデオレッスンも受けられます」
私「それ何教えてくれんの」
友「クィーンの心得とかじゃないの」

とりあえず残りの公演も無事に完走できますようにとしか思えない。

昔々あるところに善良なお兄さんがいました『イン・ザ・ハイツ』

先月末にちょっと開腹手術をしまして*1ぼちぼち日常生活に戻ってるんですけど、傷跡が圧迫されるので長く座っているのがちょっとしんどいなーでも月末の宙組チケット取っちゃったしなージェイミーもみたいしなーということでリハビリがてら映画を観ることに<月組の千秋楽中継はみてたんですが、まああれは自宅でだったので…。
近所のシネコンのスケジュールを見て、ちょうどいい時間のものがなかったのでじゃあもう気になってたやつを長くてもみるか、ということでこれを。ていうか90分の映画って少ないよねそういう意味でも『映画大好きポンポさん』劇場版はすごいよね。

面白いけど幕間休憩が欲しい(率直な感想)
ミュージカルなのでそりゃそうだなって感じなんだけど、削れるところはない代わりにまあまあ長いので幕間休憩を…と思いながらみていました。
話の作りがおとぎ話の語りではじまるのでまんまと引っかかりましたが(笑)ウスナビがラテン系のぐいぐい行く感じが全然なくておもしろいけどリアリティとしてどうなん?ていうのがちょっとひっかかりました。あとジャクソン・ハイツまで北上することってクロイスターにいく時くらいしかないので次にニューヨークにいく時は行ってみたいけど、いつになるだろう、というくらい気持ちを抱えながらみる感じ。
ウスナビの夢は形をかえて、ソニーは夢のためにこれから戦うぞ、ていうのが対象的だなって印象。

*1:これについては落ち着いたところでまとめて別ブログに出します

イヤな現実が静かに浮かび上がる『17歳の瞳に映る世界』

一般向け試写会でみました。なるほど配給はビターズエンドなのね。

 


『17歳の瞳に映る世界』公式サイト 7月16日TOHOシネマズ シャンテほか全国公開!

 

ペンシルべニアのそこそこな田舎で暮らしている17歳のオータムは予期せぬ妊娠をしてしまい、同い年のいとこのスカイラーと二人で未成年の中絶に保護者の同意がいらないニューヨークに行って帰るまで、のロードムービー。オータムは学校でもちょっと浮いてそうだし、家では義父がめんどくさそうなおっさんだし、バイト先のスーパーのマネージャーはキモ男だし、冒頭からかなりイヤげさが漂うわけです。スカイラーは可愛くて華やかでリア充っぽいけどオータムといっしょにバイトしてる前述のスーパーのマネージャー男はセクハラ野郎でスカイラーをより気に入ってるっぽいし、スーパーの客もちょっと厄介な感じのおっさんが絡んだりする。ていうかこの映画に出てくる男性が揃いも揃ってクソで、ものっそいクソな男かややマシなくそな男しかでてこないんですよいやエキストラ的な地下鉄ブースのおじちゃんとかバスチケット売り場のおじちゃんは別として。なにかとノットオールメーン!て言いたい男性諸君には申し訳ないけど17歳の女の子の目に映るおっさんてだいたいこんな感じじゃね…。

話がそれましたいやそれてないか。

この映画のいいところはそんなしんどい感じの話をかきつつも、主人公のオータムが一貫して自分のことを自分で決めようとしているところです。妊娠はしたけど父親が誰とかそういう話が一ミリも出てこないのもいい。多分オータムは相手をもうこれから拒絶して生きていくだろうし、この先彼氏がゴムつけたくないっていっても多分拒否できる…多分というかそうであってほしいというか。

あとニューヨークぽさが所々に散りばめられて、むっちゃ行きたくなりました。特に地下鉄あるある「全然紙幣を認識しないメトロカード自販機」「スワイプさせても認識されないメトロカード」「きいたことしか教えてくれない愛想ないメトロの係員」がフルコンボで出てくるシーンがあって、あるあるあるー!てウケた。中国系っぽいベーカリーでエッグタルトとかを買って地下鉄で食べるシーンも可愛い。

それにしてもオータムもスカイラーも頼るべき相手を適切に頼れてないのむっちゃ難しいよね…頼ったほうがいいのはニューヨーク行きのバスで無遠慮にナンパしてきたジャスパーじゃなくて病院の紹介ボランティアなわけだし。原題の"Never Rarely Sometimes Always"は病院でカウンセラーがオータムに聞き取りをする時に出てくるフレーズなんだけど、そこでも正直に答えられてない感じがけっこうあって、そういった緩やかにイヤなものがイヤなままにきれいな画面に浮かび上がるっていう映画でした。

最後に個人的なわかるー!ポイントとして一緒にいった人と盛り上がったのはピアスをあけるくだりでした。わかるこういうときってピアッシングしたくなるよね…

彼は何をみていたのか『ミュージカルGOYA』

フラメンコを習っていたので(現在はお休み中)今井翼さんがやるならみないとなーあと仙名君がでるし、キムラ緑子さんも生で見てみたいしなーということでチケットを取りました。
平日夜公演を取っていたら開演時間15分繰り上げで死ぬかと思った…トイレに行きそこね、水分も何もかも調達できずに着席。

www.shochiku.co.jp

一言で感想をいうとスーパー仙名彩世タイムがすごかった。

というのは置いといて。
ゴヤの没後、ゴヤが晩年住んでいた家のシーンから始まるオープニングは黒い絵の代表作である『我が子を喰らうサトゥルヌス』が映し出されたスクリーンを背景にコロスがうごめくちょっとグロテスクな幕開きなんですけど、そのあとはコミカルな場面もはさまれつつゴヤの半生を年代を追ってたどるので大変わかりやすいです。時代でいうとフランス革命が起きてナポレオンが台頭して、みたいなベルばらとかこないだの雪組公演fffの並行世界としてのスペイン宮廷と雇われ画家、みたいな。時代が被っているのでまあなあと思いつつ、ちょっと後半の演出でfffとかぶりすぎではないですかね…みたいなところがあってうーんちょっと…みたいなところがありました。このスクリーン、2枚あって場面場面でキーになる作品等が額縁込みでうつされるのでどんな絵が話題に上がっているのかとかが視覚的にわかりやすくてよかったです。
ゴヤが主人公だけと配役のバランスとしてはストーリーテラーを務めているテバ伯爵、マリア・ルイサ、アルバ公爵夫人の3人がむっちゃ強くてそこに振り回されるゴヤ(と妻のホセーファ)て印象でした。個人的にはキムラ緑子さんを舞台で見てみたいと思ってチケットをとったので大変に満足です。

まあまあの幸せって何だろう? ミュージカル『ウェイトレス』

2018年にブロードウェイでポスターをみかけて気になったものの、自分の英語力とはかりにかけてやめた演目なので日本でやるときいて楽しみにしていたのです。が、年度末でばたばたしているうちにチケットを取りそこねーたー(あるあるつらい)

ですが、運良く千秋楽のチケットが手に入ったのでみてきました。

以下簡単なメモ。

 

  • 日生劇場の内装ってちょっと日本ぽくなさがあって好きなんだけど、それとあいまって舞台装置の如何にもアメリカのダイナーです感が出てて、アメリカ行きたさに涙がでた(とはいえ典型的なダイナーにはアメリカ滞在中そんなに行ってないのだが)
  • 登場人物がいちいちむっちゃアメリカ人ぽい<偏見に基づいた感想です
  • ジェナはウェイトレスとして働いているわけだけど、パイづくりの分の賃金が上乗せされてあって欲しいなとまず思ってしまう
  • ドーンとオギーの独立戦争のお芝居のくだりはブロードウェイだともっとどっかんどっかん笑いがおきる場面なのかなあという印象
  • アール(ジェナの夫)が典型的なモラハラ男で、それこそツイッターでみるような「そういうとこだぞ!」の連発なんだけど、ポマター医師もクズいよね…配偶者が同じ病院で研修してるのにそんなことしちゃうわけぇぇぇ!?みたいな
  • パイづくりコンテストの顛末については予想通りに運んでしまうとかえって「そんなよくできた話があるか!」みたいな印象になってしまうと思うので、このオチでしっくりくるんじゃないかな…DV加害者が消えるラストの方がいいに決まってるし、ジェナが生んだ子どもをみんなで育ててる感じが望ましい未来って印象

 

ジェナ、ベッキー、ドーンの三人のシスターフッドが印象に残るので、実はあらすじのW不倫のくだりがあまり気になってなかった…ということに終わってから気づいた。ベッキーはWキャストだったので、LiLiCOさんバージョンもみたかったなあああ。んで可能ならブロードウェイでも見たい。

 

あとグッズのトートバッグが可愛くて、劇場内でも使っている人が何人もいたのうなずける。

eshop.fujitv.co.jp

 

見終わってとりあえずパイを食べるためにバビーズヤエチカまで歩きました(馬鹿じゃないの)

いまさらだけどよしながふみ『大奥』最終巻がすごかった

タイトルがすべてなんですけど。

『大奥』については新刊が出たら読む、くらいの感じでよんでいたんですけどここのところ読めてなくてですね…(前職場の図書館に入ってたので多分そこまでは読んでるな、みたいな)今から物理でそろえるのもなーて思っていたところにKindle本が白泉社コミックス買うと50%ポイント還元をやっていたので18巻までをまとめてポチり、ついたポイントの一部で19巻をぽちりました。
1巻を読んだ時点で「これ正史的には男がずーっと将軍をつとめていたことになるっぽいのがもにょるーけどそこがカギっぽいー」てブログにメモしてあったんですけど、そう戻すのか!というのはありつつ、パーツをきちきちはめていかれる感じがものすごくよかったです。あとよく読むとよしながさんってあちこちで教育の話をしてるんですけど、最終話でそれをがつっと押しだしてきたなという印象。

オンライン授業2020後期編

後期がはじまってーもう終わりましたがー。自分のためのめも。

前期分はこちら
sky712.hatenablog.com

本学は基本はオンライン、どうしても必要なもの(実習とか実験とかね)は対面授業をやるけど一教室に入れられる人数は絞るので入らない場合は複数回繰り返してやってね、という方針です。
例えばいままでは30人くらいでやっていた教室に15人しか入れられないので15人ずつ2回やってね!てことです<ものによっては8回やる授業とかあるらしいよひょえええ…。

まあそれはともかく、私が受け持つ授業の内訳はこんなかんじ
・全部オンラインでやるもの
・ほぼオンラインで一部対面授業<学生が模擬授業をやる
・半分ちょっとは対面授業(ミシンを使う実習)で一部オンライン

対面授業がはいるやつは授業回数が2倍になりました(白眼)
とりあえず師範動画はつくるけどオンライン授業はリアルタイム配信でひとつ、みたいなきもちで。

(1)全部オンラインでやる授業編
もうこれは淡々とパワポをズームに流してリアルタイム配信でしゃべる形式なんだけど、演習なので半分くらいの時間をしゃべって課題を出して残りの時間でやってGoogle classroomに提出なので、時間の半分はアシスタントで入っている助手さんと反省会をやったりだらだら話したりするタイムと化していた。この授業で技術的なことを色々試したりしていた。いろいろ試した中で一番ひょえええってなった失敗はOBSつかって授業名をかいたバナーをウェブカメラの映像にかぶせていたら「なんか背後に黒い虫みたいなのがかたまってうつってます」て助手さんに言われたことです。ひょえええってなったけど、OBSの設定を冷静に見直したらその前にVRoidで使ったクロマキー合成が有効のままになってて、蛍光ペンの黄色とイコちゃんのぬいぐるみが黒くなっているだけだった…。
とはいえ授業見学*1にきた先生には授業名をバナーとしてかぶせておくという小ネタはウケたようなので、これは次年度もオンラインがあるならやろうかなと。

(2)ほぼオンラインで一部対面授業
これは教職の授業で模擬授業をさせるのが一番大事で、遠隔授業は遠隔授業で淡々とやり、新型コロナウィルスが怖くて学校にいけません的な学生のために対面でやっている模擬授業をzoomに流す、みたいな。
まあこれは機材のセッティングしてカメラアングルは固定(ホワイトボードと模擬授業をやっている学生がうつる、みたいな感じ)なので楽。しゃべる人もホワイトボードの前に固定なのでカメラのマイクで音声を拾う感じ。

(3)実習授業
一番問題なのがこれでー。
最初は遠隔授業の日と対面授業の日があって、やや対面授業の日数が多いみたいなバランスだったので、遠隔授業では手縫いで家でできる課題を、対面授業はミシンを使った課題をやりたいわけ。あと机が広くないとできないものとか。人間の服は意外とでかいからね。なので手縫いの課題は1/2サイズの大きさで縫う、ということをした。このミニチュアで課題をつくるというの、明治大正時代の裁縫教育でけっこう使われていて、まあ布の量も少なくて済むし、実寸で縫うより早く出来上がるのが教材としてメリットが大きいんだと思う。
で、対面授業。最初はそれなりに順調にいってたのが途中で雲行きが怪しくなってきた。まー感染者が増える中で「学校の行き帰りにウィルス引っ掛けたらどうしよう…」という不安はわかる。いや厳密にはこっちはわりと通常営業に近く通勤しているし本当のところはわからんのだけど。
で、まあ実家に帰っちゃってるのでそのためだけに出てくるのもみたいな学生もいるし、そもそも学生が濃厚接触者になったり感染したりする可能性もいるのでどうするかね…ていう話なんだけど、そもそもカメラが…なあ…。仕方ないのでハイブリッド授業というやつにして、自宅でリアルタイム配信を視聴することも可、オンデマンドにはしないぞ、という対応にした。しかし自宅でみてる学生がちゃんとやってるかはわからん、という。とりあえずzoomは繋ぎっぱなしにしておいて、やってみてわかんないところがあったらどうにかしてリアクションしてね、という方式。
とはいえこういう実習系のハイブリッド授業で困るのは、手元がきちんと見えないと結局よくわからんということで…。まあ割り切って手元カメラオンリーという考え方もなくはないけど、一応ホワイトボードとかにも色々情報があった方がいいので、カメラは2台ほしいよねしかも片方はそこそこ手元がきちんとうつってほしいよねということで。まあそんなわけでこういう構成。

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カメラ1はデジタルビデオカメラ
カメラ2はiPhoneSE(第二世代)
マイクはピンマイクをiPhoneをたてているスタンドにくっつけてる。ホントは教員がつけてもいいんだけど、有線なのでちょっと動きづらいかなと。
ATEM miniはこの場合は単純に切り替え機として使用。ボタン一個でカメラ切り替えができるの便利。
あと師範してる時にそれをみる学生が密になるのもよろしくないのでは…ということで、教室に設置されているディスプレイにPCをつないでzoomの映像は流してたけど、教室の音声とタイムラグが若干生じるのでそこは教員がzoomの画面を確認しながらちょっと調整したりしないといけなかった。
あとこれをやっているところに色んな人が通りかかってゆーちゅーばーかな…?みたいな感想を言ってたんだけど、ハイブリッド授業って結局リアルタイム配信を教室で観覧している学生が一部いる、みたいな感じになる。実習でそれでいいのかっつー問題がどうしても拭えない。だいたい実習室は机がでかいしミシンも各種揃ってるしアイロンもいいやつがあるんだけど、自宅だとあっても家庭用ジグザグミシンのみ、アイロンもよわよわみたいな感じにならざるをえないわけで…。学校に来た時にここだけはロックミシンかけて!とかはできるけど、そもそもミシンがない人はどうするんだよとかあるし。
あと、これアシスタントがつく授業でたまたま私がアシスタントだから機材のセッティングその他諸々をやってzoomの面倒もみて、教員は師範と教室内の学生の面倒をみるっていう役割分担ができるから可能なのであって、1人じゃまわらなくない…?みたいな感じだった。

自宅にミシンがない学生はどうにもならないんだよなあああというのは解決できないまま来年度へ持ち越し。

*1:FD研修の一環で授業の見学に来てもらうのをやる