女教師Aの小部屋R

あちこち行ったり観たり食べたり

イヤな現実が静かに浮かび上がる『17歳の瞳に映る世界』

一般向け試写会でみました。なるほど配給はビターズエンドなのね。

 


『17歳の瞳に映る世界』公式サイト 7月16日TOHOシネマズ シャンテほか全国公開!

 

ペンシルべニアのそこそこな田舎で暮らしている17歳のオータムは予期せぬ妊娠をしてしまい、同い年のいとこのスカイラーと二人で未成年の中絶に保護者の同意がいらないニューヨークに行って帰るまで、のロードムービー。オータムは学校でもちょっと浮いてそうだし、家では義父がめんどくさそうなおっさんだし、バイト先のスーパーのマネージャーはキモ男だし、冒頭からかなりイヤげさが漂うわけです。スカイラーは可愛くて華やかでリア充っぽいけどオータムといっしょにバイトしてる前述のスーパーのマネージャー男はセクハラ野郎でスカイラーをより気に入ってるっぽいし、スーパーの客もちょっと厄介な感じのおっさんが絡んだりする。ていうかこの映画に出てくる男性が揃いも揃ってクソで、ものっそいクソな男かややマシなくそな男しかでてこないんですよいやエキストラ的な地下鉄ブースのおじちゃんとかバスチケット売り場のおじちゃんは別として。なにかとノットオールメーン!て言いたい男性諸君には申し訳ないけど17歳の女の子の目に映るおっさんてだいたいこんな感じじゃね…。

話がそれましたいやそれてないか。

この映画のいいところはそんなしんどい感じの話をかきつつも、主人公のオータムが一貫して自分のことを自分で決めようとしているところです。妊娠はしたけど父親が誰とかそういう話が一ミリも出てこないのもいい。多分オータムは相手をもうこれから拒絶して生きていくだろうし、この先彼氏がゴムつけたくないっていっても多分拒否できる…多分というかそうであってほしいというか。

あとニューヨークぽさが所々に散りばめられて、むっちゃ行きたくなりました。特に地下鉄あるある「全然紙幣を認識しないメトロカード自販機」「スワイプさせても認識されないメトロカード」「きいたことしか教えてくれない愛想ないメトロの係員」がフルコンボで出てくるシーンがあって、あるあるあるー!てウケた。中国系っぽいベーカリーでエッグタルトとかを買って地下鉄で食べるシーンも可愛い。

それにしてもオータムもスカイラーも頼るべき相手を適切に頼れてないのむっちゃ難しいよね…頼ったほうがいいのはニューヨーク行きのバスで無遠慮にナンパしてきたジャスパーじゃなくて病院の紹介ボランティアなわけだし。原題の"Never Rarely Sometimes Always"は病院でカウンセラーがオータムに聞き取りをする時に出てくるフレーズなんだけど、そこでも正直に答えられてない感じがけっこうあって、そういった緩やかにイヤなものがイヤなままにきれいな画面に浮かび上がるっていう映画でした。

最後に個人的なわかるー!ポイントとして一緒にいった人と盛り上がったのはピアスをあけるくだりでした。わかるこういうときってピアッシングしたくなるよね…